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告訴・告発#告訴状 受理されない#警察 告訴状 受け取らない#民事不介入#刑事告訴 断られた#告訴 やり直し#元刑事 行政書士

元刑事が解説|告訴状が受理されなかったときにすべきこと

公開: 2026年9月13日
田原 靖弘
8 min read

告訴状が受理されないとは、警察が告訴を受け付けず捜査に着手しない状態をいいます。受理すると検察官への書類送付義務が生じるため、捜査機関は着手できる状態かを慎重に確認します。

💡この記事の要点 / Key Takeaways

警察署で告訴状を受け取ってもらえなかった、「これは民事です」と言われた——断られたからといって、刑事事件にならないと決まったわけではありません。元大阪府警捜査二課の刑事が、窓口の内側で何が起きているのかを説明します。

田原 靖弘
✍ この記事の執筆者

田原 靖弘元大阪府警捜査二課刑事 / 特定行政書士

大阪府警で約18年間、主に知能犯捜査に従事。詐欺・横領・背任などの告訴状の受理判断を捜査側から数多く経験しています。

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警察署に告訴状を持参したものの、受け取ってもらえなかった。あるいは「これは民事ですね」と言われて帰された。

このご相談は、決して珍しいものではありません。

最初に申し上げておきます。受理されなかったからといって、その事件が刑事事件にならないと決まったわけではありません。 同じ事案でも、組み立て方を変えれば受理に至ることがあります。実際に、一度断られた後にご相談をいただき、受理された案件があります。

この記事は「こう書けば受理される」というコツの話ではありません。窓口の内側で何が起きているのかを、捜査に従事していた立場から説明します。断られた理由が分からなければ、次の手も打てないからです。

受理は「捜査を始める」という判断である

まず、受理という言葉の重さを知っておいてください。

告訴が受理されると、警察はその事件について、書類および証拠物を検察官に送付しなければなりません

司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。(刑事訴訟法第242条)

途中で「やはりやめます」ということができません。受理した以上、捜査を進め、検察官に送る。それが制度の建て付けです。

つまり受理とは、その事件に捜査員の時間を割り当てるという判断にほかなりません。

ここが、多くの方が誤解されている点です。窓口の警察官は、書類として受け取るかどうかを判断しているのではありません。捜査に着手できる状態かどうかを見ています。 同じ紙を差し出しても、中身によって答えが変わるのはこのためです。

窓口で見られている5つのこと

断られた告訴状には、いくつか共通する特徴があります。

1. 何の犯罪に当たるのかが定まっていない

被害を受けた方の言葉は、当然ながら日常の言葉です。「だまされた」「返してもらえない」「ひどいことをされた」。

しかし捜査が始まるためには、それがどの罪に当たるのかが定まっていなければなりません。詐欺なのか、横領なのか、背任なのか。同じお金をめぐる話でも、成立する犯罪は異なり、証明すべきことがまったく違います

詐欺なら「欺く行為があったか」、横領なら「預かっていたものを自分のものにしたか」。出発点が違えば、集めるべき証拠も違います。ここが曖昧なままの告訴状は、受け取る側からすると「何を捜査すればよいのか決まっていない」状態です。

2. 証拠が足りない — 足りないのは、たいてい「内心」

被害そのものの証拠は、比較的そろっていることが多いものです。振込の記録、契約書、やりとりの履歴。

足りないのは、ほとんどの場合、相手の内心に関する証拠です。

詐欺であれば、相手が「最初から返す気がなかった」ことを示す必要があります。借りて返さなかったという事実だけでは足りません。返せなくなったのか、最初から返す気がなかったのか。 ここが詐欺と債務不履行の分かれ目です。

ここで大切なのは、内心は直接には証明できないということです。相手の頭の中を見ることはできません。だから、外から見える事実を積み上げて推認します。借りた直後に別の用途に使っていた、返済原資が最初から存在しなかった、同時期に同じことを他の人にもしていた——こうした事実の集まりが、内心の証拠になります。

すでに手元にある資料でも、何を示すために使うかを整理し直すと、見え方が変わることがあります。

3. 民事上の紛争と区別がついていない

「これは民事ですね」と言われるケースです。項を改めて説明します。

4. 相手が特定できていない

インターネット上の被害で、特に問題になります。アカウント名しか分からない、本名も連絡先も分からないという状態です。

この場合、告訴の前にやるべきことがあることが多く、順序が違っているために受理に至っていない、ということが起こります。誹謗中傷であれば発信者情報の開示、取引の被害であれば口座名義の確認など、先に踏むべき手順があります。

5. 時効、告訴期間

公訴時効が完成していれば、捜査はできません。

また、名誉毀損や器物損壊などの親告罪には、告訴そのものに期間の制限があります。

親告罪の告訴は、犯人を知つた日から六箇月を経過したときは、これをすることができない。(刑事訴訟法第235条)

ただし「犯人を知った日」がいつかは、事案によって判断が分かれます。過ぎていると思っていた期間が、実は過ぎていなかったということもあります。

「これは民事ですね」と言われたとき、何が起きているのか

この一言は、被害を受けた方にとって、もっとも納得しがたい言葉だと思います。

誤解のないよう申し上げると、これは門前払いの決まり文句ではありません。窓口の警察官は、その事案が刑事手続にのせられる形になっているかどうかを見ています。

刑事事件にするということは、最終的に人を処罰するということです。処罰するには、厳格な証明が必要になります。「どちらの言い分が正しいか分からない」という状態では、その証明に届きません。 そこで、次のような点が判断材料になります。

  • 当事者間に契約関係があるか — 貸借や取引の関係があると、その履行をめぐる争いという整理になりやすくなります
  • 金銭の移動に、被害者側の同意があったか — 自分の意思で渡したお金は、渡した時点では正当な行為です。そこに欺く行為があったといえるかどうかが分かれ目になります
  • 相手方に弁解の余地があるか — 「返すつもりだったが事業が失敗した」という説明が成り立つ余地があれば、内心の証明が難しくなります
  • 請求や交渉が進行中でないか — 支払いを求めているさなかの事案は、当事者間で解決に向かっている最中と見られやすくなります

ここで知っておいていただきたいのは、民事と刑事は排他的な関係ではないという点です。民事上の請求ができる事案であっても、同時に犯罪が成立していることはあります。貸金の返還を求められることと、詐欺罪が成立することは、両立します。

つまり「民事です」と言われたということは、刑事として成立することが、その資料からは読み取れなかったということです。事案そのものが民事だと断定されたわけではありません。

受理されなかった告訴状に共通すること

捜査側から見て、受け取りづらい告訴状には、はっきりした共通点があります。

事実と評価が混ざっている。 起きたことと、書いた方の受け止めや推測が、同じ文章に同居している状態です。読む側は、どこまでが事実でどこからが解釈かを切り分ける作業から始めなければなりません。この作業は、本来なら告訴状の側で済ませておくべきものです。

証拠と主張が結びついていない。 資料が大量に添付されているのに、どの資料が何を証明するのかが示されていない。読む側が全部に目を通し、意味を判断することになります。資料が多いほど良い、というものではありません。

内心について、推測で書かれている。 「だますつもりだったに違いない」という書き方は、証拠になりません。必要なのは、そう判断できる客観的な事実のほうです。

処罰を求める意思が明確でない。 告訴は、被害を申告するだけの手続きではありません。処罰を求める意思表示です。ここが曖昧だと、被害届との区別がつかなくなります。

長い。 経緯を詳しく書こうとするほど長くなりますが、長い告訴状は、かえって核心を見えにくくします。何の罪で、誰の、どの行為について処罰を求めるのか。そこが最初に分かる形になっていることが重要です。

ご自身の件が当てはまるか、判断が難しいと感じていませんか

事案はひとつとして同じものがありません。元刑事としての捜査経験に基づいて、捜査機関が当該事案をどう評価するのかについての見込みをお伝えします。ご相談は無料です。

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警察のマンパワーには限りがある

もうひとつ、知っておいていただきたい現実があります。

刑事告訴は、本来、費用をかけずにできる手続きです。口頭で告訴することもでき、その場合、警察官は告訴調書を作成することになっています。

しかし、警察の人員には限りがあります。すべての相談について、一から事情を聴き取り、証拠を整理し、告訴調書にまとめるという対応は、現実には難しい。 これは、どこかの署の姿勢の問題ではなく、体制の問題です。

私自身、捜査に従事していた当時、内容の整った告訴状を持ち込んでいただけたら、どれだけ捜査を早く始められただろうかと思うことが何度もありました。事実が時系列で整理され、証拠がどの事実を裏づけるのかが示されていれば、その日から動けます。

整理された告訴状は、被害者のためであると同時に、捜査の側にとっても意味を持ちます。 そして捜査が早く進むことは、結局のところ被害者の利益になります。証拠は時間とともに失われていくからです。

一度断られた後に、できること

何が足りなかったのかを特定する。 これが出発点です。書き方の問題なのか、証拠の問題なのか、そもそも犯罪の成立に無理があるのか。原因によって、次にやるべきことが変わります。ここを飛ばして同じ告訴状を別の署に持って行っても、結果は変わりません。

証拠を組み直す。 新たに集めるべきものがある場合もありますが、手元にある資料の使い方を変えるだけで足りることもあります。 何を証明するために何を出すのか、という対応関係を作る作業です。

構成を立て直す。 事実を時系列に整理し、犯罪の成立要件に沿って並べ替え、証拠と結びつける。この作業を経た告訴状は、読む側の負担がまったく違います。

無理なものは無理だと知る。 率直に申し上げれば、どう組み立てても立件が難しい事案はあります。その場合、私はその理由をご説明します。見込みがないまま手続きを進めることは、依頼者の時間と費用を失わせるからです。

ここに書いたことは、あくまで一般論です

最後に、ひとつだけ申し添えます。

ここまで書いてきたことは、一般的な傾向にすぎません。実際の事件は千差万別で、同じものはひとつとしてありません。 同じ「詐欺」という言葉でも、事案ごとに証明すべきことは違い、手元にある資料も、相手との関係も違います。

この記事のどの項目が当てはまるのか、あるいはどれも当てはまらないのかは、お話を伺わなければ分かりません。申し上げられる助言は、すべてその事案だけのものです。 一般論をご自身の事案に当てはめようとすると、かえって遠回りになることがあります。

ご自身の件について具体的な見通しを知りたいということであれば、一度お話を聞かせてください。

ご相談の段階でお伝えしていること

当事務所では、捜査機関がその事案をどう評価する見込みかを、まずお伝えしています。

私は大阪府警で知能犯の捜査に従事していました。捜査する側が何を見て、どこで判断するのかを、実務として経験しています。その経験に基づいて、率直に見込みをお話しします。

見込みが薄い場合は、その理由もお伝えします。

ご相談は無料です。私が実際に手を動かす段階から、費用をいただきます。

一度断られたからといって、あきらめる必要はありません。まずは、何が足りなかったのかを確認するところから始めましょう。

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田原 靖弘

この記事の著者

田原 靖弘

特定行政書士 / 元大阪府警捜査二課刑事

大阪府警で18年間、捜査二課で詐欺・横領・企業犯罪の捜査に従事。退職後は会社役員として経営にも参画。 現在は特定行政書士として、企業の危機管理・外国人雇用支援・医療法人設立支援を行っている。

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