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元警察官の行政書士が、仕事で大切にしていること|大阪・行政書士田原靖弘

2026/3/6
田原 靖弘
5 min read

💡この記事の要点 / Key Takeaways

大阪府警の捜査二課で17年間、知能犯捜査に従事した元警察官が、なぜ行政書士になったのか。警察と行政書士に共通する「問題解決のプロセス」と、仕事で大切にしている考え方についてお話しします。

「行政書士 元警察官」というキーワードで当事務所を訪れてくださる方が多いと聞き、この記事を書くことにしました。

この記事では、私がどういう考えで仕事をしているのかをお話しします。

なぜ警察官を辞めたのか

大阪府警で17年間、主に捜査部門にいました。パトカーの乗務員として地域の現場を回ることから始まり、刑事課ではひと通りの事件対応を経験しました。暴動事案への治安出動や指定暴力団の抗争対応に機動隊員として当たったこともあります。機動隊では爆発物処理・NBC対策の小隊長やレンジャー指導員を務め、捜査二課時代には刑事特別隊として災害出動にも当たりました。中でも長かったのは知能犯捜査で、詐欺・横領・汚職といった事件を扱う捜査二課での仕事が、キャリアの中心でした。

事件の全体像を俯瞰し、問題の核心を見極め、関係者から話を聞き、事実を一つずつ積み上げ、関係各所と交渉しながら解決に導く——その繰り返しが日々の仕事でした。

やりがいのある仕事でした。しかし、どれだけ捜査を尽くしても、被害者が失ったものは戻りません。横領された資金、裏切られた信頼、費やされた時間。犯人を逮捕しても、被害者の方が「ありがとう」と笑顔で帰ることは、ほとんどありませんでした。

事件が起きた後ではなく、起きる前に力になれる仕事がしたい。その思いが年々強くなり、現職のまま独学で行政書士試験に合格し、令和6年に退官しました。

信頼がすべてだと思っている

開業して気づいたことがあります。お客様が行政書士を選ぶ基準は、結局のところ「この人を信頼できるかどうか」に尽きるということです。

資格や経歴は、その判断材料の一つにはなるかもしれません。しかし、最終的に仕事を任せるかどうかを決めるのは、「この人は誠実に仕事をしてくれるだろうか」という感覚だと思います。

もちろん費用は大事な要素です。ただ、私の実感として、「あなたに任せたい」と言っていただけた仕事ほど、こちらも全力を尽くせますし、結果として長いお付き合いになることがほとんどです。価格だけでなく、「この人と一緒に仕事がしたいかどうか」で選んでいただけるのが、一番良い関係の始まり方だと思っています。

ありがたいことに、信頼していただいたお客様から別のお客様をご紹介いただくことも増えてきました。起業を目指す方の立ち上げをお手伝いしたり、日本人・外国人を問わず経営者の方から顧問として頼っていただいたり、仕事の内容は多岐にわたります。18年続く医療系予備校の取締役という役職をいただいているのも、そうしたご縁の一つです。

特別な営業をしたわけではありません。目の前の仕事に誠実に向き合い続けた結果が、次の仕事につながっている。ただ、それだけのことだと思っています。

警察の経験が活きていること、活きていないこと

正直に言えば、「元警察官だから何でもできます」ということはありません。私は長く捜査畑にいたので、許認可の審査をしていた経験はありませんし、行政書士として日々新しく学んでいることの方がはるかに多いです。

ただ、捜査の仕事で身についた「問題解決の進め方」は、行政書士の仕事でもそのまま活きていると感じます。

捜査も行政書士の仕事も、書類を作ることが本質ではありません。まず全体を俯瞰し、何が問題なのかを見極める。依頼者や関係者の話を丁寧に聞き、事実を一つずつ集めて分析する。必要があれば関係各所と交渉し、壁にぶつかれば別のアプローチを考える。この一連のプロセスを、解決に至るまで粘り強く繰り返す。書類は、その結果として出来上がるものです。

書類の質は、そこに至るまでのプロセスの質で決まります。そしてプロセスの質は、結局のところ、関わる人間の力に左右されます。相手の話を聞く力、本質を見抜く力、困難な局面でも前に進む力、人を巻き込んで動かす力。捜査の現場で求められていたものは、行政書士の現場でも同じでした。

たとえば告訴状の作成では、捜査二課で告訴・告発事件を受理する側にいた経験が活きています。ただ、それは「書き方を知っている」からではなく、告訴に至るまでの事実関係の整理、被害者の方からのヒアリング、証拠の収集と分析——その一連のプロセスを、捜査員の目線で組み立てられるからです。

入管業務でも、起業支援でも、経営者の方からの相談でも、根本は同じです。まず話を聞き、事実を確認し、問題を整理して、一つずつ解決していく。分野は違っても、やっていることの本質は変わりません。

逆に、行政書士の仕事には弁護士のような訴訟代理の権限はありません。できることとできないことの線引きを曖昧にしないことも、私が大切にしていることの一つです。

ただ、自分にできる範囲でより多くの困っている方の力になりたいという思いから、特定行政書士の資格を取得しました。これにより、行政の不当な処分に対する不服申立ての代理ができるようになりました。「できないこと」を一つでも減らしたい。その気持ちは、今も変わりません。

私が大切にしている考え方

私には、仕事をする上で指針にしている考え方があります。武士道の精神です。

大げさに聞こえるかもしれませんが、実際にはとてもシンプルなことです。嘘をつかない。約束を守る。自分の損得ではなく、正しいと思うことを選ぶ。困っている人がいたら、できる範囲で力になる。

警察官時代も、この考えは変わりませんでした。行政書士になった今も同じです。肩書きや立場が変わっても、人としての在り方は変わらないと思っています。

お客様にとって都合の悪いことであっても、リスクがあるなら正直にお伝えします。「それはやめた方がいい」と言うこともあります。目先の売上よりも、長い目で見たときにお客様の利益になるかどうかを判断基準にしています。

結果として「田原に頼んでよかった」と言っていただけることが、私にとって一番の報酬です。

おわりに

この記事を最後まで読んでくださった方は、おそらく行政書士に何かを相談しようか迷っている方だと思います。

私にできることは限られています。しかし、ご相談いただいたことに対して、嘘なく、誠実に向き合うことだけはお約束します。もし私の手に負えないことであれば、正直にそうお伝えしますし、適切な専門家をご紹介します。

「元警察官だからすごい」とは思いません。ただ、17年間の捜査で「事後対応の限界」を嫌というほど見てきたからこそ、事前の備えにはこだわります。

何かお力になれることがあれば、お気軽にご連絡ください。


田原 靖弘

この記事の著者

田原 靖弘

特定行政書士 / 元大阪府警捜査二課刑事

大阪府警で知能犯捜査のスペシャリストとして企業不正・横領・詐欺事件を担当。 現在は行政書士として、その捜査経験を活かした危機管理・企業防衛・国際業務を提供しています。

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