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情報提供#行政書士法改正 2026#特定行政書士 業務拡大#非行政書士行為 罰則#補助金申請 代行 違法#不服申立て 行政書士

行政書士法改正2026年施行|特定行政書士の権限拡大と企業が知るべき罰則強化

公開: 2026/3/17
田原 靖弘
12 min read

行政書士法改正(2026年1月1日施行)とは、行政書士の使命規定の新設、特定行政書士の業務範囲拡大、非行政書士行為への罰則強化(両罰規定を含む)、デジタル対応の努力義務化を柱とする、75年ぶりの大幅改正です。企業は「補助金申請の外注先」「外国人雇用の書類作成委託先」の適法性を再点検する必要があります。(行政書士田原靖弘事務所|元大阪府警捜査二課刑事・特定行政書士 田原靖弘 監修)

💡この記事の要点 / Key Takeaways

2026年1月施行の改正行政書士法で、特定行政書士の不服申立て代理が「作成した書類」から「作成できる書類」に拡大。非行政書士行為には「いかなる名目」でも罰則適用、両罰規定で法人にも100万円以下の罰金。元大阪府警捜査二課刑事・特定行政書士が、建設業許可・VISA・医療法人設立・補助金申請への影響と企業の対応策を、一次情報(e-Gov条文・日行連会長談話)に基づいて解説。

田原 靖弘
✍ この記事の執筆者

田原 靖弘特定行政書士 / 元大阪府警捜査二課刑事

法執行機関で法改正の実務影響を経験し、行政書士として最新の法制度に基づいた支援を行っています。

「行政書士法が75年ぶりに大きく変わりました。この改正は、企業の許認可手続きと書類作成の外注先選びに直結します。」
——元大阪府警捜査二課刑事・特定行政書士 田原靖弘

2026年1月1日、改正行政書士法が施行されました。特定行政書士の業務範囲拡大、無資格者への罰則強化、デジタル対応の義務化——。この改正は、単なる業界内の制度変更ではなく、企業が許認可手続きを外部に依頼する際のルールを根本から変えるものです。

本記事では、元捜査二課刑事として10年間、詐欺・横領・背任・文書偽造を捜査してきた経験を踏まえ、企業経営者が知るべき改正のポイントを解説します。

改正行政書士法の5つの柱とは?

改正行政書士法は、行政書士制度を現代の行政ニーズに適合させるための5つの改正を行いました。2025年5月30日に衆議院、6月6日に参議院で全会一致により可決・成立し、2026年1月1日に施行されています。

使命の明確化

行政書士の「使命」が法律上初めて規定されました。「行政に関する手続の円滑な実施に寄与するとともに国民の利便に資し、もつて国民の権利利益の実現に資する」ことが使命です(第1条)。

職責の新設

品位の保持と業務への精通に加え、デジタル社会への対応が努力義務として規定されました(第1条の2第2項)。士業法でデジタル対応を明記したのは史上初です。

特定行政書士の業務拡大

不服申立て代理の対象が「作成した書類」から「作成することができる書類」に拡大。初回申請に関与していなくても不服申立て代理が可能に(第1条の4)。

非行政書士行為の罰則強化

いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」行政書士業務を行うことが禁止。「コンサル料」「会費」等の名目も対象に(第19条第1項)。

両罰規定の整備

違反した個人だけでなく、所属法人にも100万円以下の罰金が科されます(第23条の3)。法人の管理責任が問われる時代です。

特定行政書士の権限拡大 — 何が変わったのか?

企業にとって最も実務的な影響が大きいのが、特定行政書士の業務範囲拡大です。改正により、不許可処分を受けた場合の「救済の選択肢」が格段に広がりました。

改正前後の比較

改正前

特定行政書士が不服申立てを代理できるのは、自分が実際に作成した書類に係る許認可処分のみ。他の行政書士が作成した申請や、申請者本人が自ら提出した案件は対象外でした。

改正後

行政書士が「作成することができる」書類に係る許認可処分であれば、初回申請に関与していなくても不服申立ての代理が可能に。いわば「許認可のセカンドオピニオン」が制度的に認められました。

具体的な活用シーン

  • 建設業許可の不許可処分:自社で申請して不許可になった場合、特定行政書士に不服申立ての代理を依頼可能
  • 在留資格の不許可処分:外国人従業員のビザ申請が不許可になった場合、別の特定行政書士にセカンドオピニオンを求められる
  • 医療法人設立の不認可:設立認可申請が通らなかった場合の不服申立て代理
  • 営業停止処分への対応:不利益処分に対する審査請求の代理

💡 元刑事の視点

捜査二課での経験から言えば、「最初の申請で門前払いされた」「理由がよくわからないまま不許可になった」というケースは珍しくありません。重要なのは、不許可処分に対して適切な手続きで争う権利があるということです。改正法によりその権利を行使するための選択肢が広がったことは、企業にとって大きな前進です。

企業が注意すべき「非行政書士行為」の罰則強化

改正法で企業が最も注意すべき点は、「いかなる名目によるかを問わず」という文言の追加です。これにより、報酬の名目にかかわらず、行政書士でない者が書類作成業務を行うことが明確に禁止されました。

改正の背景 — コロナ禍の教訓

日本行政書士会連合会の会長談話(2025年11月1日付)によれば、この改正の背景には、コロナ禍において行政書士資格を持たない者が給付金申請の代行で多額の報酬を受けていた事例があります。「コンサルティング料」「代行手数料」「会費」等の名目で対価を受領し、実質的に官公署提出書類の作成を業として行うケースが問題視されました。

⚠️ 企業が今すぐ確認すべき3つのポイント

  1. 補助金申請の外注先:補助金申請書の「作成代行」を依頼している先は行政書士ですか?コンサルタントに「作成」まで依頼していませんか?
  2. 外国人雇用の書類作成:在留資格関連の書類作成を登録支援機関に任せていませんか?書類「作成」は行政書士または弁護士の業務です
  3. 許認可申請の代行先:建設業許可、医療法人設立等の申請書類の作成を、資格のない「代行業者」に依頼していませんか?

違反した場合の罰則

改正法における罰則の概要は以下のとおりです。

  • 業務制限違反(第21条の2):1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
  • 両罰規定(第23条の3):法人の従業者が違反した場合、行為者に加えて法人にも100万円以下の罰金

💡 元刑事の視点

捜査の現場を10年見てきた経験から申し上げると、「知らなかった」は通用しません。両罰規定の整備は、「従業員がやったことだから会社は関係ない」という言い訳を封じるものです。特に外国人雇用関連の書類作成を外部に委託している企業は、委託先の資格を今すぐ確認してください。改正法は既に施行されています。

4つの業務分野への具体的な影響

改正行政書士法は、許認可のあらゆる分野に影響します。ここでは、特に影響の大きい4つの分野について解説します。

建設業許可・経審・入札

  • 不許可処分への不服申立て:特定行政書士が初回申請に関与していなくても、建設業許可の不許可処分に対する審査請求を代理可能に
  • 経営事項審査(経審)の結果に対する不服申立て:経審の評点に疑義がある場合の対応も拡大
  • 無資格の代行業者への注意:建設業許可申請書の作成を行政書士でない者に依頼するリスクが明確化

外国人起業・VISA

  • 登録支援機関の書類作成リスク:登録支援機関が在留資格関連書類の「作成」を行うことは、行政書士法違反となり得ます。書類の「取次」(入管への持参)は可能ですが、「作成」は行政書士または弁護士の業務です
  • 在留資格不許可の救済:他の行政書士が申請して不許可になった案件や、本人が自ら申請して不許可になった案件について、特定行政書士が不服申立てを代理可能に

医療法人設立・薬局開設

  • 設立認可の不認可処分への対応:医療法人設立認可が不認可となった場合の不服申立て代理
  • 各種届出の代行業者への注意:薬局開設許可や各種変更届出の作成代行を行政書士以外に依頼するリスク

危機管理・コンプライアンス

  • 企業のコンプライアンスリスク:両罰規定の新設により、「従業員の無資格代行を会社が黙認していた」場合、法人にも罰金が科される
  • 外注先の適法性監査:書類作成の外注先が行政書士資格を有するかどうかの確認が、企業のコンプライアンス項目として必要に

デジタル対応の努力義務 — 行政書士に何が求められるか

改正法第1条の2第2項は、行政書士に対し「デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用」を通じた国民の利便性向上を努力義務として課しています。士業法でデジタル対応を明記したのは史上初です。

これは企業にとっても朗報です。行政書士に許認可手続きを依頼する際、電子申請対応オンライン面談クラウドでの書類共有など、デジタル技術を活用した効率的なサービス提供を期待できるようになります。

たとえば、2026年度には建設業許可申請の電子化が全国展開される予定です。改正法の趣旨に沿った電子申請対応は、企業と行政書士の双方にとってメリットがあります。

よくある質問(FAQ)

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Q1. 特定行政書士と通常の行政書士の違いは?

特定行政書士は、日本行政書士会連合会が実施する法定研修を修了した行政書士です。通常の行政書士にはできない許認可に関する不服申立ての代理(審査請求・再調査の請求・再審査請求等)を行うことができます。改正法により、この権限の対象範囲が大幅に拡大されました。

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Q2. 改正法はいつから施行されていますか?

2026年1月1日に施行済みです。第217回国会(2025年常会)で成立し、2025年6月13日に公布されました。衆議院・参議院とも全会一致での可決です。

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Q3. 「助言・コンサルティング」は行政書士でなくてもできますか?

一般的な助言・添削・コンサルティング自体は、行政書士の独占業務には当たらないとされています。ただし、実質的に書類の「作成」を行っている場合は、名目にかかわらず行政書士法違反となり得ます。「助言」と「作成」の境界は個別のケースにより判断されるため、不安がある場合は行政書士にご相談ください。

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Q4. 行政書士法に違反した場合の罰則は?

行政書士法第19条第1項の業務制限に違反した場合、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処されます(第21条の2)。改正法ではさらに両罰規定(第23条の3)が整備され、法人の従業者が違反した場合は、法人に対しても100万円以下の罰金が科されます。

まとめ — 改正行政書士法で企業が押さえるべきポイント

  • 特定行政書士の不服申立て代理の範囲が拡大 → 不許可処分を受けた場合の「セカンドオピニオン」が可能に
  • 「いかなる名目」での報酬受領も違反対象 → 補助金申請・VISA書類の外注先の資格確認が必須に
  • 両罰規定の新設 → 法人にも罰金が科される。「知らなかった」は通用しない
  • デジタル対応が努力義務に → 電子申請対応・オンライン相談が当たり前の時代に

💡 行政書士からのアドバイス

今回の法改正は、企業にとって「守り」と「攻め」の両方に使えるものです。

守り:許認可関連の書類作成を外部に委託している場合、委託先が行政書士資格を有するかどうかを今すぐ確認してください。改正法は既に施行されており、両罰規定により法人の責任も問われます。

攻め:これまで不許可処分を受けて諦めていた許認可がある場合、特定行政書士による不服申立てという新たな選択肢が生まれました。建設業許可・在留資格・医療法人設立など、行政書士が作成できる書類に係る許認可であれば、初回申請に関与していなくても対応可能です。

当事務所は、元大阪府警捜査二課刑事の経験を活かし、許認可申請から不服申立て、企業のコンプライアンス体制構築まで一貫してサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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田原 靖弘

この記事の著者

田原 靖弘

特定行政書士 / 元大阪府警捜査二課刑事

大阪府警で18年間、捜査二課で詐欺・横領・企業犯罪の捜査に従事。退職後は会社役員として経営にも参画。 現在は特定行政書士として、企業の危機管理・外国人雇用支援・医療法人設立支援を行っている。

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