結論:「人が増えれば組織が伸びる」は幻想です。組織の問題は「予防」こそが全てです。
経営者・リーダーの皆様。行政書士の田原です。
私は元刑事であり、現在は行政書士として法務に携わる傍ら、自らも、株式会社取締役のほか、一般社団法人の理事、NPO法人の創設支援など、複数の事業を行う経営者でもあります。
多くの経営者やリーダーが、事業・組織拡大の局面で「人」の問題、すなわち「パレートの法則」の壁に突き当たります。
「売上・成果の8割は、2割の優秀な社員・メンバーが生み出している」
この法則は、組織が大きくなるほど、痛烈な現実として経営者・リーダーに突き刺さります。
しかし、私が現場で見てきた本質的な問題は、単なる「働かない8割」の存在ではありません。
経営者・リーダーを本当に悩ませ、組織を静かに蝕んでいくのは、もっと複雑な存在です。
こうした、単純な「2割」と「8割」では分類しきれない人材の扱いに、多くの経営者・リーダーが頭を抱えています。
これらの方々を放置したまま増員をかければ、どうなるか。組織はあっという間に「烏合の衆」と化し、組織拡大どころか、既存の優秀な社員・メンバーまで失うことになりかねません。
私の信条は「事件は起きてからでは遅い」です。
組織崩壊という最悪の「事件」は、会議室で起きるのではありません。日々の現場で静かに進行します。そして、この問題は「予防法務」や「チームビルディング」の考え方そのものなのです。
経営者として直面した「パレートの法則」の現実【私の現場感】
私自身も、経営者として人の問題には常に直面してきました。
以前、ある事業を拡大するために、鳴り物入りのエース級人材を採用した経験があります。彼はまさに「ブリリアント・ジャーク」でした。
個人の業績は素晴らしい。しかし、彼は既存のメンバーが大切にしてきた「顧客への誠実さ」という会社の「文化」を無視し、短期的な数字だけを追い求めました。さらに、うまくいかないことがあると他責的な言動を繰り返し、チームの和を乱したのです。
結果、どうなったか。彼一人のために、会社を長年支えてくれていた「本当の2割」である古参の優秀な社員たちの士気が下がり、組織全体が疲弊してしまい、気付くのがもう少し遅けれていれば取り返しの付かないところでした。
もちろん、警察でも同じようなことがありました。一般的に「エース」と呼ばれる人物が、実はブリリアント・ジャークだった。私は、元刑事として多くの組織(捜査本部なども含め)の盛衰を見てきた経験からも断言できますが、強固に見える組織であっても、その「穴」は、常に「基準の緩み」や「たった一つの例外の容認」から広がっていくのです。
あなたの組織を蝕む「3つのタイプ」とパレートの法則
パレートの法則を、単なる「2割(優秀)対 8割(その他)」で捉えるのは危険です。問題の本質は、その「構成員」にあります。
タイプ1:優秀だが有害な「ブリリアント・ジャーク」
最も対応が難しいタイプです。短期的な売上・成果(=2割側)に貢献している「事実」があるため、経営者・リーダーとしても強く出られないケースが多い。
しかし、彼らの有害な言動を許容することは、「会社やチームはその行動(例えば、他者を尊重しないこと)を公式に認めた」という最悪のメッセージを組織全体に発信することになります。
これは組織文化にとって「ガン細胞」であり、他の優秀な人材(本当の2割)が会社を去る最大の原因となります。
タイプ2:「やる気のある無能」と「良い人だが働かない人」
ナポレオンが「処刑せよ」とまで言ったとされる「やる気のある無能」は、非常に厄介です。彼らは間違った方向に全力疾走し、善意で周囲を巻き込み、結果として「2割」の優秀な人材の足を引っ張ります。
また、「良い人」だが成果を出せない人は、その人柄ゆえに強く指導しづらい。結果として組織の「ぬるま湯」の象徴となり、全体の基準値を静かに下げていきます。
これらの方々が「8割」の中核を形成してしまうと、組織の生産性・意欲は致命的に低下します。
なぜ彼らが生まれるのか? 犯人は「基準の不在」です。
では、なぜこうした人材が組織に生まれ、居座ってしまうのでしょうか。
答えは明確です。経営者・リーダーが明確な「文化」と「基準」を定めていないからです。
「類は友を呼ぶ」というのは、組織論における絶対的な真理です。
経営者・リーダーに明確な「文化(理念・行動規範)」と「基準(評価・ルール)」がなければ、組織は「ブリリアント・ジャーク」の横暴が許され、「良い人」が成果を出さなくても居座れる「居心地の良い場所」になってしまうのです。
「烏合の衆」は自然に生まれるのではありません。経営者・リーダー自身が、そうした環境を作ってしまっている可能性があるのです。





