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外国人・国際関連業務#育成就労制度#技能実習廃止#外国人雇用#特定技能#在留資格

育成就労制度2027年完全ガイド|技能実習廃止で企業がやるべき5つの準備

2026/3/8
田原 靖弘
12 min read

💡この記事の要点 / Key Takeaways

2027年4月、技能実習制度が廃止され育成就労制度がスタート。転籍(転職)の容認、日本語能力要件の新設、不法就労助長罪の厳罰化など7つの主要変更点と、2026年中に企業が取り組むべき5つの準備を元大阪府警刑事・取次行政書士が徹底解説します。

2027年4月、技能実習制度が廃止され、新たに「育成就労制度」がスタートします。

「うちには関係ない」と思っていませんか。外国人を1人でも雇用している企業、これから雇用を検討している企業にとって、この制度変更は避けて通れません。

元大阪府警刑事として外国人犯罪の捜査に携わり、現在は取次行政書士として在留資格の申請業務を行っている立場から、育成就労制度の全貌と、2026年中に企業がやるべき5つの準備を解説します。

育成就労制度とは何か — 技能実習との決定的な違い

育成就労制度は、2024年6月の法改正で創設された新しい在留資格制度です。2025年9月の閣議決定により、2027年4月1日の施行が正式に決まりました。

最大のポイントは、制度の目的が根本から変わったことです。

✕ 技能実習制度(廃止)

目的:国際貢献(技能移転)
建前は「途上国への技術支援」だが、実態は人手不足の穴埋め。転職不可、劣悪な労働環境が国際社会から批判されてきた。

○ 育成就労制度(新設)

目的:人材育成と人材確保
「日本で働きながら技能を身につけ、特定技能に移行する」という明確なキャリアパスを提示。転籍(転職)も条件付きで可能に。

つまり、「建前と本音が違う」と批判されてきた技能実習の矛盾を解消し、外国人材を正面から「労働力」として受け入れる制度へと転換したのです。

7つの主要変更点 — 企業が知っておくべきこと

技能実習制度から育成就労制度への変更点を、企業の実務に影響が大きい順に整理します。

① 転籍(転職)が認められる

技能実習では原則として転職が認められませんでした。育成就労制度では、以下の条件を満たせば本人の意向で転籍が可能になります。

  • 同一業務区分内であること
  • 同一機関での就労が原則1年以上(技能修得に時間がかかる8分野は2年以内)
  • 技能検定試験基礎級等に合格していること
  • 日本語能力A1(N5)相当以上の試験に合格していること

企業にとっては「人が辞める可能性がある」ということです。賃金・労働環境の改善が、人材確保の必須条件になります。

② 日本語能力要件の新設

技能実習には日本語能力の要件がありませんでしたが、育成就労では段階的な要件が設けられます。

  • 入国時:A1(N5相当)以上の試験合格、または日本語講習の受講
  • 就労1年後:分野ごとに設定された日本語試験に合格
  • 特定技能移行時:A2(N4相当)以上の試験合格

③ 特定技能への明確なキャリアパス

3年間の育成期間を経て、技能・日本語の試験に合格すれば特定技能1号に移行できます。さらに特定技能2号(在留期間の上限なし)への道も開かれており、長期的な人材確保が可能になります。

④ 対象は17分野・受入れ上限42万6,200人

特定技能の19分野から「航空」「自動車運送業」を除いた17分野が対象です。

育成就労の分野別受入れ見込み数(上位3分野):

  • 建設 — 約12万3,500人
  • 工業製品製造業 — 約11万9,700人
  • 飲食料品製造業 — 約6万人

なお、特定技能1号(80万5,700人)と合わせた受入れ見込み数は合計約123万人です。例えば建設分野は育成就労12万3,500人+特定技能7万6,000人=合計約19万9,500人となります。

日本の外国人材受入れの規模が大きく拡大します。

⑤ 監理団体 → 監理支援機関への移行

技能実習の「監理団体」は「監理支援機関」に名称が変わり、より厳しい許可要件が課されます。

  • 外部監査人の設置が義務化(弁護士・行政書士・社労士等)
  • 常勤の役職員2人以上の配置
  • 受入れ機関が2者以上であること
  • 債務超過でないこと

外部監査人の設置が「任意」から「義務」に変わる点は大きな変更です。行政書士は外部監査人になれる資格者であり、制度の透明性確保に重要な役割を担います。

⑥ 前職要件・復職要件の撤廃

技能実習では「母国で同種の業務経験がある」「帰国後に同じ仕事に就く」という要件がありました。育成就労制度ではこれらが撤廃され、未経験者でも来日して技能を身につけることが可能になります。

⑦ 不法就労助長罪の厳罰化(2025年6月施行済み)

元刑事として、これは特に強調しておきたいポイントです。育成就労制度の創設と同じ2024年6月の法改正で、不法就労助長罪の罰則が大幅に引き上げられました。こちらは育成就労制度に先行して、2025年6月からすでに施行されています。

  • 改正前:3年以下の拘禁刑 もしくは 300万円以下の罰金
  • 改正後(施行済み):5年以下の拘禁刑 もしくは 500万円以下の罰金(併科あり)

「知らなかった」は通用しません。在留資格の確認を怠って外国人を働かせた場合、経営者自身が刑事罰を受ける可能性があります。この厳罰化は今この瞬間もすでに適用されているのです。

2026年中にやるべき5つの準備

2027年4月の施行まで1年を切りました。2026年は「準備の年」です。今から動き始めてください。

準備1:現在の技能実習生の在留資格を確認する

まず、自社で受け入れている技能実習生の在留期間・実習計画の状況を確認してください。

2027年7月1日までに技能実習を開始できる場合は、経過措置として現行制度で入国可能です。それ以降は育成就労制度に切り替わります。経過措置期間は3年間(2030年3月31日まで)設けられますが、早めに新制度への移行準備を始めることを強く推奨します。

準備2:賃金・労働環境を見直す

転籍が認められるということは、待遇が悪い企業からは人が離れるということです。「安い労働力」としてではなく、「育てて定着させる人材」として外国人を捉え直す必要があります。日本人と同等以上の報酬、適切な住環境、日本語学習の支援——これらが人材確保の鍵になります。

準備3:監理支援機関の選定・変更を検討する

現在の監理団体が新制度の許可要件を満たせるか確認してください。

監理支援機関の許可申請受付は2026年4月15日から開始される予定です。受入れ機関が1社のみの監理団体は許可されません(現行の約7%が該当)。現在の監理団体が新制度に対応できない場合、早めに代替の機関を探す必要があります。

準備4:育成就労計画を策定する

育成就労計画の認定申請は2026年9月1日から受付開始予定です。計画には、育成期間中の業務内容、技能目標、日本語教育計画などを具体的に記載する必要があります。「とりあえず受け入れてから考える」は通用しません。

準備5:コンプライアンス体制を整備する

不法就労助長罪の厳罰化(5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金、2025年6月施行済み)に対応するため、社内の管理体制を見直してください。

  • 在留カードの定期的な確認ルールを策定する
  • 在留期間の管理台帳を作成・更新する
  • 労働条件通知書を母国語で作成する
  • ハラスメント相談窓口を整備する

施行スケジュール — 重要な日程一覧

2026年〜2027年の主要スケジュールを整理します。

  • 2025年6月 — 不法就労助長罪の厳罰化施行(済)
  • 2026年1月23日 — 分野別運用方針を閣議決定(済)
  • 2026年2月20日 — 運用要領を公表(済)
  • 2026年4月15日 — 監理支援機関の許可申請受付開始
  • 2026年9月1日 — 育成就労計画の認定申請受付開始
  • 2027年4月1日 — 育成就労制度 施行
  • 2027年7月1日 — 技能実習での新規入国の期限
  • 2030年3月31日 — 経過措置終了(技能実習制度の完全廃止)

よくある質問

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Q1. 今いる技能実習生はどうなりますか?

3年間の経過措置があるため、すぐに在留資格が無効になることはありません。既存の技能実習計画に基づく在留は2030年3月31日まで継続可能です。ただし、新規の技能実習での入国は2027年7月1日が期限です。在留期間の更新時に育成就労への切り替えが必要になるケースもあるため、早めに専門家に相談することをお勧めします。

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Q2. 転籍で外国人が辞めてしまうのが心配です

転籍には「原則1年以上の在籍」「技能試験・日本語試験の合格」「同一業務区分」という条件があります。入社翌日に辞められるわけではありません。ただし、賃金・労働環境が劣悪な場合は人材流出のリスクがあります。これを機に「選ばれる企業」になるための環境整備を進めてください。

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Q3. 小さな会社でも育成就労で外国人を受け入れられますか?

受け入れ可能です。ただし、監理支援機関を通じての受入れ(団体監理型)が基本となります。適切な監理支援機関を選定し、育成就労計画を策定する必要があります。計画の作成や申請手続きは行政書士がサポートできます。

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Q4. 行政書士に何を相談できますか?

取次行政書士は、在留資格の申請手続きを本人に代わって入管に提出できる資格者です。育成就労制度に関しては、育成就労計画の策定支援、在留資格の申請・変更・更新の手続き代行、さらに外部監査人としての監査業務も行えます。制度移行に伴う手続きの相談窓口としてご活用ください。

まとめ — 育成就労制度は「発想の転換」を迫っている

育成就労制度のポイントを整理します。

  • 2027年4月1日施行。技能実習制度は廃止、3年の経過措置あり
  • 目的が「国際貢献」から「人材育成・人材確保」に明確転換
  • 転籍(転職)が条件付きで可能に — 企業は「選ばれる側」になる
  • 日本語能力要件の新設(入国時A1、移行時A2)
  • 特定技能への明確なキャリアパスが確立
  • 監理支援機関の許可要件が厳格化、外部監査人の設置が義務化
  • 不法就労助長罪の厳罰化(5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金、2025年6月施行済み)

「安い労働力」ではなく「一緒に成長する仲間」として外国人を迎えられるか。この制度が問うているのは、企業の姿勢そのものです。

捜査の現場で「不法就労」の実態を目にしてきた者として断言します。コンプライアンスを軽視する企業に未来はありません。制度が変わる今こそ、外国人材の受入れ体制を根本から見直すチャンスです。

💡 行政書士からのアドバイス

育成就労制度への移行準備は、2026年が勝負です。監理支援機関の許可申請(4月〜)、育成就労計画の認定申請(9月〜)と、重要な期限が続きます。

「何から始めればいいかわからない」という方は、まず現在の受入れ状況の棚卸しから始めましょう。当事務所では、技能実習から育成就労への移行相談、育成就労計画の策定支援、在留資格の申請代行まで、一貫してサポートいたします。

初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

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田原 靖弘

この記事の著者

田原 靖弘

特定行政書士 / 元大阪府警捜査二課刑事

大阪府警で18年間、捜査二課で詐欺・横領・企業犯罪の捜査に従事。退職後は会社役員として経営にも参画。 現在は特定行政書士として、企業の危機管理・外国人雇用支援・医療法人設立支援を行っている。

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